初夏の6月初旬、北海道札幌でYOSAKOIソーラン祭りが開かれます。毎年多くの観客とともに熱気に包まれる一方で批判や不評の声があがります。
札幌の住人を中心に賛否両論あるこのお祭り、批判される理由とは何でしょうか?こちらでは、元踊り子の私がよさこいソーラン祭りの問題点を考察するとともに裏の事情や祭りの魅力についてもご紹介します。
YOSAKOIソーラン祭りとは?
よさこいソーラン祭りは、当時北海道大学2年生の長谷川岳さんが高知県の「よさこい祭り」に感動して「こうした光景を北海道でも見られたら…」と思い、立ち上げました。長谷川さんのお母さんが癌を患い、お兄さんが医師として勤めていた高知の病院へ入院、その看病をするためにいった時期がちょうどよさこい祭りが行われていた時期(8月9~11日)だったのです。
当時学生仲間5人で実行委員会を発足させ、高知県の「よさこい祭り」と北海道の民謡「ソーラン節」をミックスさせた「YOSAKOIソーラン祭り」が生まれました。
第1回、参加10チーム1,000人、観客動員20万人で始まった祭りはその後、日本全国さらには海外にも広がり、今では約270チーム27000人の参加者と約200万人の観客が集う祭りへと成長しました。
祭りの参加者や観客動員数ともよさこいソーラン祭りの規模も拡大・成長していく一方で、批判などが出始め、第9回のよさこいソーラン祭り2000では、大通公園内のゴミ箱から爆発物が爆発し、数名の負傷者を出す事件が発生しました。この年、この爆破事件によりファイナルステージを中止しています。
爆破事件にまで発展してしまったとは驚きですね。また、近年でも当時のよさこいフィーバーの時代からは徐々に参加チーム・お客さんの観客動員数ともに減少しているものの、上記のように200万人のお客さんが集まっているのも事実です。
それでも耳にするその批判や不評とは何なのでしょうか?
よさこいソーラン祭りが批判される理由
多くの観客を呼んでいるよさこいソーラン祭り、お客さんが多いということは経済効果が生まれて地元の人は大歓迎!と一概にそういうことでもないようです。その理由とは。
騒音問題
よさこいは音楽に合わせて踊るものですよね。「パレード」という道路上で進みながら踊っていく形式では同時間に複数のチームが曲を流します。縦または公園を隔てた横のチームの音量に負けまいと音量を上げていき、結果会場全体の音量が大きくなるという騒音問題です。
実行委員側から基準を設けて、それ以上の音量にしたチームは失格、という規制を作っているものの、守らないチームが多く地元の住民たちから批判の声があがり続けています。
祭りをするからには、地元への承諾・協力を得て開催できるのですが、いざ始まると騒音レベルでの音量で苦情があがっています。主催者側の地元への承諾と参加チーム側の理解の落とし込みが必要となっていますね。
踊り子(踊っている人)のマナーが悪い
メイン会場となる場所以外にも市内会場として別の会場へ移動する際、地下鉄など公共の乗り物に乗ります。その際大きな声だったり態度だったりで迷惑に感じる方から苦情が挙がります。
コンビニ前でたむろしていたり、騒いでいたり、と集団行動の中からかマナーが悪く、地元住人や会場付近へ通学通勤する人に迷惑をかけているのです。
全ての踊り子がそうしているわけではありませんが、どんなものでもそうですが、一部のものが悪いような態度で見られるとよさこいソーランの参加者全てが悪いように見られます。チームには代表がいて、祭りの参加要綱や主催される事情なども把握しています。これらをその一部の踊り子にどう理解してもらうか指導力にかかっていると言えなくもないですね。
どのよさこいの祭りでも言われることです。特によさこいソーランのような大きな祭りでは1部の集団が100や1000のように言われるのを理解していく必要があります。
交通規制による渋滞
お祭り期間中、札幌の中心街が封鎖され、交通規制による渋滞も起こりますし、公園や施設への利用も制限されます。よさこいに興味のない方からすれば、迷惑でしかないのですね。
お金儲け主義に感じる
有料の観覧席(桟敷席)が設置されたり、大きな祭りとなるとそれなりのスポンサーが付いたりするなどお金の問題が絡んできます。
また、参加者(踊る側)の問題としても参加料が高額だったりもします。祭りの開催にあたり、大きなお金が動きますので主催者側としても全ての運営費をまかなうということもできない問題があります。
お金関係に入れていいのかわかりませんが、賞を決めるというのも問題にあげられています。祭りの演出的な運営の考え方とどうせ出るなら賞というご褒美があったほうがモチベーションがあがるというチーム、そうでない楽しければいいというチーム、それに見てる側としてどうせ入賞するチームはお金がかかっているから入賞できるんでしょ、という考え方。それら全てに納得の理由を出すのは難しいと言えます。
よさこいソーラン祭りの魅力とは?
それでもなお、200万人と言うお客さんが集まるソーラン祭りには魅力があるのでしょう。以前私は踊り子であり、祭りの運営側にも携わっていました。今は観客です。ソーラン祭りのではないですよ。その上で私は運営側のいろいろなアイデアや努力でこれほどまでの祭りが大きくなったのではないかと思わされます。
そこにはもちろん地域住人との協力や理解は欠かせませんし、お客さんもつまらない祭りなら行く必要ないわ、とどんどん減っていくことでしょう。
私はよさこいをかじったことの人間なので、いわばよさこい派、よさこいに興味がある人です。全く興味のない人はおそらくこれからも興味がないと思います。興味がない方は祭りの期間中、不自由な思いをしたり、嫌な思いもされると思います。しかしそれが運営側・開催者の思いでないことは理解していただきたいです。
踊り子の大半はお客さんに来てもらうためとは思っていません。こんなこと言うと嫌われるかもしれませんが、自分の楽しみのためにやっているんです。スキーでもサッカーでもお裁縫でも好きだから、楽しいからするんですよね。ただ忘れていけないのが、運営側・地元の方々・お客さんのおかげで「踊らせてもらえる」こと。踊り子たちは演舞のまえには「よろしくおねがいします」踊った後は「ありがとうございました」と言います。何に対しての「ありがとう」でしょうか。
ただ声を張り上げているだけの「あざーした!」的なことを言っているチームは考え直したほうがいいでしょうね。
運営側・お客さん・踊り子、全てが協調してこその祭りです。大きくなったよさこいソーラン祭りでは様々な批判や不評も受けます。全てがうまくまとまるのは難しいかもしれませんが、楽しんでいるお客さんがいるのは魅力的な祭りなのではないでしょうか。
まとめ
よさこいソーラン祭りの批判や不評についてお話しました。
これほどまでに成長した大きな祭り、今後も地域住民やお客さんの理解を得ながら、多くの人が楽しめる・理解できる祭りになっていくといいですね。
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