京都の観光や納骨でさまざまな人が訪れる「西本願寺」と「東本願寺」。
なぜすぐ近くなのに西と東に分かれているのでしょう?
まずは歴史的な背景を説明します。
また、現在でも少しだけ違うところがあると言われている所をご紹介します。
お西とお東、普段聞きなれたお経は東はこんなにも違うのかと驚きでした。
西本願寺と東本願寺の違い、歴史的なこと
京都の観光や納骨でさまざまな人が訪れる「西本願寺」と「東本願寺」。
なぜすぐ近くなのに西と東に分かれているのでしょう?
実はいわゆる、後継ぎ問題があったのです。
顕如(父) :穏健派
教如(長男):抗戦派
准如(三男):穏健派
ここに豊臣秀吉と徳川家康の時代が流れます。
文禄元年(1592年)、当時の龍谷山本願寺(後の西本願寺)の
11代目住職、顕如は自分が亡き後の跡継ぎ問題に頭を悩ませます。
もともと時代の流れから場所は転々とし、さらに戦国時代であったこの時代、
子供たちや取り巻き達も抗戦派と穏健派で教団内の対立に発展していました。
顕如はまだ幼い准如を跡継ぎにする遺言を書きます。
秀吉は遺言どおり、准如に10年後には住職を継がせるよう、命じます。
臨時住職であった教如この命じに納得していましたが、
抗戦派の取り巻き達が黙っていませんでした。
抗戦派は秀吉の怒りを買い、即刻追放されてしまいます。
隠居生活を強いられた教如ですが、その後も布教活動に努め、
新しい末寺の創建の芽を育てていました。
関ヶ原の戦い後、徳川家康とかつてから交友があったため接近します。
家康から「本願寺」のすぐ東の烏丸六条に寺地を与えられ、
ここに本願寺を分立させました。
本願寺の立地関係から、西と東という通称が付けられるようになったのです。
これ以降昭和62年(1987年)までは、東西ともに「本願寺」が正式名称でしたが、
この年東本願寺は、「宗教法人 本願寺」を解散し、
「宗教法人 真宗大谷派」に吸収合併しました。
東本願寺の本山の名称を真宗本廟と改称しました。
大きい家系で問題となる跡継ぎ問題のお家騒動、
現代でもたまに聞きますが、やはり浄土真宗のお家騒動はスケールが大きいですね
西と東、今の違いは?仏壇やお焼香など微妙に違う
西 | 東 | |||||||||||
通称 | 西本願寺 | 東本願寺 | ||||||||||
紋 |
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本山 | 龍谷山本願寺 | 真宗本廟 | ||||||||||
宗派 | 浄土真宗本願寺派 | 真宗大谷派 | ||||||||||
納骨 | 大谷本廟 | 大谷祖廟 | ||||||||||
阿弥陀如来像 | 後光多い | 後光少ない | ||||||||||
仏壇おかざり | 黒っぽい | 金色 | ||||||||||
女性の数珠 | 房は下 | 親指左側 | ||||||||||
焼香 | 1回 | 2回 | ||||||||||
南無阿弥陀仏 | な”も”あみだぶつ | な”む”あみだぶつ |
今では「浄土真宗 本願寺派(西本願寺)」、「浄土真宗 大谷派(東本願寺)」
となっていますが、宗祖は共に親鸞聖人で宗教的思想にほとんど違いはありません。
言い回しや仏壇の飾りつけ等に微妙な違いはあります。
またお線香の仕方も少しずつ違います。
・ご本尊の阿弥陀如来像の形が微妙に違う
掛け軸にしたときも後光の本数が大谷派がやや太めで本数が少ないのです。
・仏壇の様式が微妙に違うところがあります。
仏壇は寺院本堂をミニチュアにしたもので、
本願寺派用と大谷派の仏壇というように商品化されています。
わかりやすいところで言うと、花立、香炉、蝋燭立など、
本願寺派は黒っぽい色合いを使いますが大谷派では金色の仏具を使います。
また、鶴亀のろうそく台が特徴的です。
所属寺院(地域と名称)や仏壇の御本尊・仏具等、
保管の経本、打敷、御文章箱の紋などから区別がつけられます。
・蓮如上人の五帖御文の呼び方が、本願寺派が「御文章(ごぶんしょう)」、
大谷派が「御文(おふみ)」という違いがあります。
・日常のおつとめで読まれる「正信念仏偈」の節回しが微妙に違います。
こちらは後の項でご紹介します。
・数珠の持ち方は男性は変わらないのですが、女性は、
本願寺派は二重にした念珠に房は下に垂らします。
大谷派は、親玉を親指で挟むようにかけ、房は左手側に垂らします。
出典:それぞれの宗派の数珠の違い|浄土真宗
・「南無阿弥陀仏」が本願寺派では「なもあみだぶつ」、
大谷派では「なむあみだぶつ」と唱えます。
・お焼香の回数が本願寺派は1回で、大谷派は2回です。
浄土真宗では、焼香は額にいただかず、香をくべます。
西と東、お経の読み方は別物?
日常のおつとめで読まれるお経の動画(音声のみ)があります。
同じものを読んでいるのですが、節回しが変わっています。
自分が普段聞いているお経は、そのまま入ってくるのですが、
もう一方を聞くとこんなにも違うのもかと思えるでしょう。
まとめ
西本願寺と東本願寺の違いについてと現代の違いについてお話してきました。
今回、納骨について記事を書いていたのですが、
そこから派生して私自身知らなかったことが多く、勉強になりました。
お寺のことはよくわからない、で通していた私ですが、
こうして身近なところから少しずつ興味がわいてくる、
私だけでなく似たような世代や立場の方が共感してくれると幸いです。
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