みなさん、天神講ってご存知ですか?
我が家に長男が生まれ、正月近くになった時期に、
母から天神様の掛け軸を用意しなくちゃと言われました。
親がやってきた行事をなんとなく見ていただけで、
それを自分たちが子供にしてあげる年になりました。
こちらのページでは天神講はどういうものか、
掛け軸は誰が用意するのか、や当日することは?
についてご紹介します。
天神講?天神様?焼きカレイを食べるっていうけど、何なの?
天神講とは、1月25日に学問の神様、菅原道真を描いた天神様の掛け軸を飾り、
焼きカレイを供えるというものです。
お供えしたカレイはその日の晩ごはんで食べ、無病息災や学業成就を祈念します。
実は福井(の嶺北地方)や富山、他には一部の地域しか
天神様の風習はありません。
地方独特の習わしがあったりするのですが、
ここでは福井の天神講について述べます。
長男が生まれると、孫渡しなどの際に天神様の掛け軸をもらい、
それ以後の正月から天神様を床の間に飾ります。
飾る日は明確には決まってないのですが、
正月から、1月7日からというお家もあれば、
菅原道真の命日の25日にちなんで、
飾り始めを「終い天神」といって12月25日から、
片付けるのは「初天神」の1月25日としているお家もあるようです。
幕末の頃に教育熱心であった福井藩の藩主、松平春嶽が領民に
学問の神様と言われる天神画を飾るよう推奨し、そこから広がったようです。
お供えする焼きカレイは天神様、菅原道真が
好んで食べていたという言い伝えによるものです。
坂本竜馬の軍鶏鍋と似たような感じでしょうか。
縁起の良い子持ちの大きい焼きカレイを用意します。
福井では法事や婚礼など、尾頭付きの魚にカレイを好みます。
冬ともなれば、脂が乗って身も厚く、焼いて食べれば本当においしいですよ。
毎年、1月25日にはそこらじゅうのスーパーや魚店で
立派な焼きカレイを販売しています。
その焼きカレイを家族みんなで食べて、無病息災や学業成就を祈念する
というものです。
天神様の拝み方は
お参りの方法は「二拝 (二礼) 二拍手 一拝 (一礼)」です。
天神様は神様です。願い事をする際にも、ご家族様で必ずお参りをして下さい。
また、新しい一年を迎えられたことをご先祖様にご報告すために、
仏壇にもお参りしましょう。
(ロウソクは帰り道を照らすという意味で赤色がよいです)
天神様の掛け軸は誰が用意するの?相場は?
天神様の掛け軸は、生まれた子の母方の実家から贈られます。
言い換えると、母方の実家が天神様の掛け軸を購入しなければなりません。
時期としては子供が生まれて一ヵ月前後の孫渡しか、
生まれた最初の(翌年の)正月というところがあります。
その家の「長男」に対して贈るもので、
次男が生まれた時や、長女が生まれた時には贈る必要はありません。
代々続く歴史の長い家では、長男が跡継ぎということになりますので、
一家に何本も天神様があるというケースも珍しくなく、
祖父から孫まで三世代分の掛け軸が吊るされるというお家もあります。
掛け軸の贈り物(購入)については、注意すべき点があります。
●母方のきょうだいが女の子だけの家では天神様の認識がないこと
母方、つまり生まれた子供のお母さんですね。
そのお母さんが姉妹ばかりだと、
そのご両親は天神講をしたことがないということになります。
●県外から嫁いできた母方のご家族には天神様の認識がない
冒頭でも述べたのですが、天神様の風習は地域独特のものなので、
全国的に行なっているものではありません。
そのため、父方のご両親が母方のご両親に
「この地域ではこんな風習があって・・・」
ということを説明しなければなりません。
天神様の掛け軸の気になるお値段なのですが、
いわゆるピンキリだったりします。
相場は7万~11万程度で必要充分と思われますが、格式を重んじる家では
立派な20万ぐらいの天神様を求めるおうちも実際存在します。
ご両家同士が集まって、お店に行くというのもひとつの手だと思います。
ちなみに雛人形やこいのぼりなど販売している人形店などであれば、
掛け軸は、桐箱に長男の名前が書かれて、
立派に保存、お見せできるものとして用意してくれるでしょう。
天神講、当日はなにをすればよい?
まず前述したように、お家によると思いますが、
正月前後には天神様を床の間に飾ってありますよね。
その天神様の前に焼きカレイをお供えします。
焼きカレイは当日購入がよいでしょう。
お仕事など都合が合わなければ、前日購入できるところもあります。
スーパーや魚屋さんに行けば、形のいい立派な焼きカレイがありますよ。
人気の魚屋さんでは売切れてしまうので、事前に注文するのがおすすめです。
ウチでは購入したカレイをそのまま(ラップもついたまま・笑)
天神様に前にお供えしていますが、
しっかりするところでは、お皿に移して、三宝にのせます。
他にお供えするものは、御神酒・鏡餅・橙(だいだい=みかんでも代用)
などを供えます。
夕方になって、お供えしてあるカレイを天神様からいただき、
切り分けて家族みんなで食べます。
長男の子は、頭の方がよいと言われるかもしれませんが、
なんせ0歳の子には無理ですし、
大きくなっても頭の方は食べにくいですよね。
食べ方としては、長男の方から→男の方→女性という順で箸をつけるとかいうのを
聞いたことがありますが、お好みでよいかと思われます。
この時期のカレイは本当においしいです。
卵もしっかり入っていて、これまたすごくおいしい。
天神様の片付けはお参りして、当日か翌日に行ないます。
まとめ
福井の天神講、いかがでしたでしょうか?
私は子供のときからこのような中で育ってきたので、馴染みがありますが、
いざ子供の世代へ、もしくは孫の世代へとなると、
しっかりしなきゃと思いますね。
地域独特の風習のため、子供のお母さんのお家には、
説明が必要なときもあります。
ご両家にとって大切なお子さん、賢くなるのを願いつつ、
このような行事を大切にしていきたいですね。