せいかつがかり

田植え機の乗り方 ぬかるみにはまった時には?ぬかるみへの植え方

前回、田植え機の基本的な乗り方や植え方についてお話しました。今回は水分の多い田んぼでぬかるみにハマってしまったときの対応やその場所への植え付けの仕方についてお話します。

田植えをしていると想像以上にやわらかい田んぼに苦戦することもあるかと思います。もしかしたら、「ヤバい」と思った時にはもう手遅れかも。毎年の傾向で対策できるところは場所も把握した上ではまらないように注意したいですね。

  

田植え機の乗り方 ぬかるみにはまった時には?

前回、世代交代のため初心者農家である私の体験談とともに田植え機の載り方についてお話しました。
田植え機の乗り方 免許は何が必要?目配り気配りすること まっすぐ植えるには

↑を読んでいただけたらわかるのですが、ベテランの農家さんたちは「何をいまさら」という内容だと思います。私自身の体験談や備忘録、そして今後の若い世代の農家さん跡取りの方に参考になるといいなと思って綴っていきます。

まずぬかるみにハマるという状態ですが、田んぼの土が軟らかい状態で田植え機の後輪の推進力が働かなく進むことも後退することもできない状態をいいます。田んぼや建物の位置関係により、南側などにからの日光が当たりにくいところや、排水自体がうまくできていないところが土が軟らかいままはまってしまう原因になる場所です。

前進していく際、前方がどんどん深く前方に傾き、前輪も4分の3以上が埋まってくることもあるでしょう。また、後退する際には田植え機は植付け部がありますので、基本的に植付部を下げたままの後退は破損の原因となりますので、深く入り込んだ状態ではできません。

深みにはまったときにはたいていの場合何とかしようと前進後退を繰り返すより早めの判断が必要となってきます。「ヤバイかも」と思った時にはそれ以上はがんばらないほうがいいときもあります。

ハマってしまったときには土を入れて土台を作る、木材を挟み込ませて脱出するという方法もありますが、やはり確実なのはトラクターなどでの牽引です。はまった場所や田植え機の向きにより、一概にトラクターの位置づけは理想的な場所を取れないこともあるでしょう。うちの組織では5mと150mほどのワイヤーを用意しています。田んぼの真ん中でスタックしたときには150mのワイヤーをつけてトラロープなどで歩道や砂利道な安定しやすいところまで伸ばして引っ張っていました。

田植え機には前方からしか牽引するフックや引っ掛ける部分がないので、前に引っ張ってもらうことになります。よっぽど深く入り込んだ場合や前方がコンクリート舗装で前に引っ張れない時は4点吊りといって後輪とともに田植え機自体を真上に持ち上げる方法が取られるようですが、私はまだ見たことがありません。

これははまりすぎだと思いますが、実際泥の状態と重みでここまで入り込むときもあるようです。

まずははまってしまったという自覚、それに必要以上に脱出を試みないという諦めのよさが今後の作業の進み具合に影響してきます。

基本的に田植え機前方フックにワイヤーをかけ、もう一方をトラクターなどの前方にかけます。そしてトラクターをバックさせて脱出を試みるといいでしょう。引っ張れる方向によりますが、できるだけ横方法から牽引せずに車軸を傷めたり、横転しないように心がけて引っ張ります。

無事、脱出した際にはパイプラインが通っているのであればホースをつないで洗い流したほうがいいでしょう。タイヤ周辺はもちろん、運転席前方下部のエンジン部も泥が付いているときもあります。植付部も忘れずに洗っておくほうがいいですね。

田植え機の乗り方 ぬかるみへの植え方

事前にここら辺は軟らかい、毎年はまりそうになるとわかっている場合には、通常の植え方をせず、事前に対策しておくほうがいいですね。

方法は2つ
①田んぼの排水の改善
 通常なら暗渠(あんきょう)排水することで劇的に変わります。暗渠とは田んぼの下に穴の開いたパイプを埋め込んで、田んぼ下の地中の排水をよくすることです。簡単にできることではないので、土地改良など別の組織や団体との計画的改善が必要になってきます。

②植え方を変える
 ハマった後はもちろん、計画的にやっていても全ての田んぼを改善できないときもありますよね。植え方自体の考え方はいたって簡単、バックで進入して植付けながら進んでいく、です。

ただし、土が軟らかい部分の見極めが大切です。田植え機1台分の長さの柔らかい部分ならバックで入ってもいいですが、それ以上だとそこからまた進むときにハマってしまうことは容易に想像できますよね。最初からこの方法で行うからには事前情報が必要となってきます。毎年はまりやすい場所か、日中、日の当たり具合はどうか、どの程度の長さまで入り込んでもいいかなどです。

できるだけ1日のうちでも優先的にその田んぼを行い、夕方前などどうしようもない時間または疲れきっている時間に残さないようにします。モチベーションが変わってきますからね。

そしてあまり肥料や苗を積み込まないようにします。前回私の組合ではまったときには、8条植えの田植え機に肥料5個分(100kg)入れて苗も16枚フルで入れたときにちょうど柔らかい部分にハマって動けなくなりました。運転手の体重もそこそこに関わってくるでしょう。機械にかかる重みを考慮するのは大切ですよ。

作業方法はバックして植付け、それを繰り返すだけ。と言葉で言うのは簡単ですが、進んだらその横の列に間が空かないようにバックして進入していかなければならないので、技術(?)が必要です。先輩の乗り手さんのウマいこと、見ていてすごくきれいに入っていくのですが、実際自分ができるかというとかなり自信ありません。

このようにして危険な部分は先に植えてしまい、その部分とは別に大丈夫な部分で通常のように中を植えてから外周を植えていきます。

どうしても無理そうな場合は最終手段は手植えしかないでしょう。とはいえ、うちの組合長は手植えまでして、大変な思いして収穫量を増やさなくてもいいと言ってくれています。作業する立場からしたらありがたいことです。

まとめ

田植え機の乗り方ぬかるみにハマったときの脱出の仕方と植え方についてお話してきました。

田植え機についての関連記事はこちら
田植え機の乗り方 免許は何が必要?目配り気配りすること まっすぐ植えるには

モバイルバージョンを終了